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地震後に改めて読みたい1冊「月に響く笛」

2011年04月09日 18:17

2011年3月11日
マグニチュード9.0の地震が日本を襲った。

そんな中でも、おそらく多くの人が
「私の家は倒れない。安全だ。」
と信じていただろう。
或いは、
「倒れてしまうのではないか?」
という疑いすら持たなかったかもしれない。
現時点では被災地の調査は完全には終わっていないため詳細は不明だが、
実際に、地震力により倒壊した建物は極少数である印象を受ける。


しかし、時は遡り2005年、私たちは
耐震強度偽装
構造計算書偽造
という事件を目撃している。


今だからこそ、あの事件の恐ろしさが分かるのではないだろうか。
地震の被害状況を語り継ぐ事も重要だが、
忘れ去られそうなあの事件をもう一度思い出すことも重要に思う。


実は、当時の様子が主観的ではあるが興味深い形で纏められた1冊が存在する。


完全版 月に響く笛 耐震偽装
藤田 東吾
講談社
売り上げランキング: 18267



本書に記述された全てを信じる事はできない。
しかしながら、本書の全てを疑う事はあまりにも愚かな行為であるように思うのだ。





本書はイーホームズという会社の社長が書いたもの。
イーホームズとは確認検査機関。
当時、計算書の偽造を見抜けなかったとして、
マスコミに注目された会社だ。
その社長は、構造に関しては言ってしまえば素人、ただの経営者。


しかし、まず注目したいのが、そのただの経営者である彼の建築に対する思い。
無論、本書は「私は悪いことはしていない!」という社長の言い訳を記したものでもあるため、
正義感あふれる文章になるのは必然ではあるが、疑ってはきりが無い。
まずは全てを受け入れて読むべきだ。


彼は計算書偽造の事実が発覚してから、
イーホームズで審査した別の計算書における偽造の有無を調べた。
その行為が自らの会社の首を絞める事になるのは想像に難くない。
そして、それは彼も認識していたはずだ。


それでもなお、住まう人の事を第一に考えた行動は
当然の行為だが敬服せざるを得ない。


改めて実感する事は、
建築に携わる者は、その安全を確認するための努力を怠ってはならない、ということだ。
ましてや意図的に安全・安心を奪うような行為など言語道断である。
これは構造設計者だけの問題でもない。
現場に入ってから構造設計者に黙って耐震要素を取ってしまう意匠の人もいるくらいなのだから。
意匠的な美しさであったり、低価格であったりというのは、構造の安全が大前提。


そして、国も、自らの責任を転嫁させるためのシステム形成に努めるだけでなく、
建築界を良い方向へ導くようなシステムをつくってほしいものだ。


「国VSイーホームズ」という構成も実に読ませる文章となっている。
隠れた名著として紹介しておく。

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